いちばん目立った表紙を、捨てました
朝3時。
画面に7枚の表紙を並べて、ひとつだけ選ぼうとしています。
昨日、Amazonの棚に並ぶ35点の表紙を全部数えた話を書きました。白か生成りが54%、青系が31%、暗い色は1点、赤系は0点。この数字を見て、いちばん気に入っていた生成りの案を捨てたところまでが昨日の話です。
今日は、その続きです。
残った候補のなかで、いちばん目を引いた案も捨てました。
それでも、朱を選びませんでした
理由は、並べた画像を10分ほど眺めているうちに分かりました。
朱色の表紙は、たしかに目立ちます。
ただ、目立ち方の種類が違ったんです。
棚を見渡すと、朱やオレンジに近い色を使っている本は、たいてい「3日で変わる」「知らないと損」といった強い言葉が乗っています。色が声を張っている。
私の本は、そういう本ではありません。
5年やって、良い月で3万円。最初の3年はほとんどゼロ。中身は、そういう地味で遅い記録です。
その中身に、いちばん声の大きい色をかぶせる。
これをやると、どうなるか。
開いた瞬間に、落差が出ます。
表紙が約束した熱量と、中身の温度が合わない。期待して開いた人ほど、静かすぎる本文にがっかりするはずです。
目立って、開いてもらって、そこで裏切る。いちばん避けたい形でした。
表紙は「目立つため」だけのものではなかった
ここが今回いちばん考えたところです。
昨日までの私は、表紙を「気づいてもらうための道具」だと思っていました。だから数えたし、空席を探しました。
でも、それだけではありませんでした。
表紙は、中身がどんな温度で書かれているかを先に伝える札でもあります。
静かな本には静かな表紙が要る。ただし、静かすぎると気づいてもらえない。
つまり必要なのは「いちばん目立つ色」ではなく、トーンを裏切らない範囲で、いちばん抜ける色でした。
条件を並べ直すと、こうなります。
- 明るい群れ(54%)から明度で抜けること
- 青系(31%)から色相で抜けること
- 中身の落ち着きを裏切らないこと
3つ全部を満たしたのが、臙脂でした。
暗いので明度で抜ける。赤なので色相でも抜ける。それでいて、朱ほど声を張らない。
`#862326`。この色に決めました。
「いちばん良い案」ではなく「いちばん外していない案」
正直に書くと、決めた瞬間の気持ちは、あまり晴れやかではありませんでした。
いちばん気に入っていた案(生成り)を捨てて、いちばん目立った案(朱)も捨てて、残ったのが臙脂です。
消去法です。
ただ、あとから考えると、これでよかったのだと思います。
自分がいちばん良いと思ったものは、棚では埋もれる案でした。数字がいちばん良いと思ったものは、中身と合わない案でした。
自分の感覚も、数字も、片方だけでは間違えます。
両方を並べて、両方に落とし穴があると分かったうえで残ったもの。それが臙脂でした。
これは表紙だけの話ではないと思っています。
記事のタイトルも、SNSの投稿も、同じ形をしています。目立つ言葉を選べばクリックはされます。ただ、中身がそれに追いつかなければ、次から読まれなくなる。
5年やってきて、いちばん時間がかかったのは、この加減の見つけ方でした。
明日、文字の大きさを選んでもらいます
色は決まりました。
ただ、まだ決まっていないことが1つあります。
書名の文字を、1割大きくするかどうか。
暗い地に明朝体を白く抜くと、小さく表示されたときに実際より線が細く見えます。スマホの検索結果では、表紙は指の爪ほどの大きさです。
現行のままか、1割大きくするか。
自分の画面で拡大して眺めても、また同じ間違いをするだけです。昨日の反省がそれでした。
なので明日、2つ並べた画像を出して、読んでくださっている方に選んでもらおうと思っています。
よかったら、明日は投票にお付き合いください。
8月15日にKindleで本を出します。それまでの途中経過を、毎朝そのまま出しています。
決まったことだけでなく、迷って止まっているところも含めて全部書いています。
Substackの購読者限定チャットでは、ここに書いていない部分を先に置いています。今朝は、7案を棚に並べた実物の検証画像と、明日の投票に使う2択の画像を先に出しました。
売り込みをする場所ではありません。朝の静かな時間に、同じ方向を向いている人とゆるく繋がれる場所です。
よかったら、覗いてみてください。完全無料で、解除も自由です。
最後に、少しだけ。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
私は特別な才能があるわけではありません。ただ、朝3時という静寂の中で自分と向き合うことで、どん底だった毎日を少しずつ、自分の手に取り戻してきました。
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